imagine

水曜日, 9月 23, 2009

らくだ

落語に「らくだ」という噺がある。
9月は「らくだ月間」かというぐらい落語会で「らくだ」に出会った。
9/10の志らくさんの「らくだ」、9/12の志らくさんの「らくだ」、昨日の立川談慶さんの会は談慶さんの「らくだ」、今日は映画「小三治」を観て、その中で出て来た小三治さんの「らくだ」。

「らくだ」。
噺のあらすじは、長屋に「らくだ」とあだ名される男がいる。
その男が河豚にあたって亡くなった。そこに「らくだ」の兄貴分の男・丁目の半次という男がやってくる。
丁目の半次は弔いの真似事をすると言って通りがかったくず屋を強請り、長屋の住人達を脅し弔いの準備を整えた。
ご苦労だったと強請ったくず屋に酒を飲ませたらさあ大変。酒にだらしないくず屋は酔っぱらい徐々に本性を表す。本音を吐露する・・・

今月たくさん聴いた「らくだ」。
「らくだ」の悪行が心に残る、丁目の半次の怖さだけが目立つ、くず屋の悲哀が泣ける、くず屋の豹変に驚く、長屋の住人の振り回される様が楽しくもあり悲しくもあり・・・まさに三者三様、いや四席四様、聴いてて飽きない。いつも新鮮。
これは「らくだ」に限ったことではなく落語の全ての噺が演者によって、時と場合によって、会場の雰囲気によって、それこそ僕の体調・心持ちによって心への「ひっかかり処」が変わってくる。
これこそまさに「古典芸能」の楽しみなんでしょう。
あまり詳しくないですが、ベートーベンをカラヤンが指揮する、ウィーンが演奏する、ボストンが演奏する。それが全部違うのが「古典」の楽しみなんでしょう。

今日観た映画「小三治」で、柳家小三治さんが「(弟子が)師匠と同じことをすることを恥ずかしく思え」と言ってた意味が、色んな意味でわかったような気になりました。

だから落語はやめられない。


9/22(火) 談慶支援の会 at 東京芸術劇場
三四楼 浮世床
談慶 天災
志らく 火焔太鼓
談慶 らくだ

9/23(水) 新文芸坐 落語二夜(第一夜)
映画「小三治」と柳家三三 映画を語る、師匠を語る、落語を演る
三三 万金丹

月曜日, 9月 21, 2009

9/20 立川流特選会

9/20(日) 立川流特選会 立川志らく・立川談笑 二人会 at よみうりホール

いいぞ〜、志らくさんネタのブログを4連投。
もはや「神様、仏様、稲尾様」ならぬ「志らく様」。
ヨン様が倒れたばっかりなので何となく「〜様」はやめよう。
でも稲尾は4連投じゃないし、「雨雨権藤、雨権藤」、いや1989年10月12日の近鉄-西武ダブルヘッダーの近鉄ラルフ・ブライアントの2試合またぎの4連発か。

前置きはさて置き、僕にとっては夢の競演の志らく・談笑二人会。
前にも「夢の競演」って表現使ったな・・・ま、いいか。

ネタ帳
談笑 子別れ・改
志らく 疝気の虫
談笑 居酒屋・改 イラサリマケー
志らく 紺屋高尾

開口一番、前座さんの登場もなくいきなり談笑さん。
しかも子別れ。人情噺。僕も、多分他のお客さんもチューニングを人情噺に合わせるのにちょっと苦労したものの、なおかつ、建設会社の社長と若い衆の会話から始まって、ようやく子供が出てきて名前が「亀ちゃん」、そこでやっと「子別れ???」と気付いてからはずんずん噺に引き込まれ、不覚にもジーンと来てしまい、ギャグで笑ってしまい、思わず涙が出てしまいました。
古典の内容をベースにした改作で、亀ちゃんが出て行った父親に会うために
「高い建物を建てているところに行けばお父ちゃんに会えるかも知れない」
というところが僕のつぼでした。

続いて志らくさん。
噂に聞いてた志らくの「疝気の虫」。
志らくさん曰くSF落語「疝気の虫」、これでもかっていうぐらい笑いました。

シャッーーーーー!!

と鳴く疝気の虫はグレムリンであり、スターウィーズのイウォークであり、全然脈絡ないんですが疝気の虫が食道を登って行くところは勝手に「シャイニング」の『あの男』の顔が思い浮かびました。
聞くところによると「疝気の虫」を志らくさんが演劇にするとかしないとか。
「疝気の虫」ってどんな色してるんだろう、体の模様はどんな感じだろう。
どうやって子孫を残すんだろう。
テレビでココリコ・田中さんが絶賛してたビワアンコウのような繁殖方法がいいな。
http://www.wikiterious.com/html/modules/pukiwiki/269.html

談笑さんの鉄板ネタ・イラサリマケー、志らくさんの紺屋高尾。
紺屋高尾は談春さんのをよく家で聴いているですが、

「わちきのような者でも、主の女房はんにしてくんなますか?」

ここがめっちゃ好きなんです。
ここを聴きたいがために何度もリピートしたりします。
そんな大好きな「紺屋高尾」を聴けた喜び。

月並みな言い方ですけど、落語って一期一会なんです。
この落語家さんのこのネタが聴きたい!このネタをこの落語家さんで聴いてみたい!って思ってもなかなか実現しないんです。

今回の二人会、僕にとっては全部大好きな噺でした。

いつも楽しい落語をありがとうございます。

土曜日, 9月 19, 2009

念願の・・・


iphoneを手に入れました。
正直「念願」というほどのものでもないのですが、macユーザーとしてはitunesを介して色んなものがつながって行く感じに憧れ、また画像を拡大・縮小するときのタッチパネル上の指の動き(二本指で広げたり縮めたりする操作)、専門用語でいうところの「ピンチ」に憧れとうとう買っちゃいました。
書いてて思ったのですが、やっぱり「念願」でした。粋がってすいません。

もうひとつの念願。
立川志らくさんの「志らくのピン」という落語会に行きました。
これは本当に「念願」。
なかなかチケットが取れず、いつも売り切れ。
ようやくようやくようやく行くことが出来ました。

9/15(火) 志らくのピン at 内幸町ホール
らく次 「勘定板」
志らく 「強情灸」
志らく 「そば清」
志らく 「唐茄子屋政談」

志らくさんの定例落語会だけあって、ホールの雰囲気もお客様の雰囲気も、何となく「ホーム」感があり、すごくいい雰囲気でした。
志らくさん自身も心なしかリラックスしてる感じがして、まくらもたっぷり、落語もたっぷり三席、志らく落語を存分に楽しめた二時間でした。
プログラムによると『ほとんどネタおろしに近い「そば清」』。
清さんの「ど〜も〜」の登場シーン、ほんま腹立つおっさんやな〜。面白くって腹立つという意味で。

立川志らくが好きで好きで堪らない。ちなみに僕は男色ではない。
好きな理由を分析する必要があるなぁ・・・
どこがどう好きなんだろう。

僕は好きな人が出来ると「その人が人生で影響を受けたもの」、「人生で一生懸命取り組んだもの」について聴いてみたいという衝動に駆られる。
二時間でも三時間でもじっくり話をしてみたいという気持ちになる。
志らくさんとそんな機会を作ることはちょっと難しいので、ひとまず志らく落語からそれを感じ取ってみよう。
まずは追っかけるしかないな。
恋愛みたいに追っかけ過ぎると逃げられるのかなぁ?
いずれにせよ適切な距離感で追っかけてみよう。
次は20日の志らく・談笑二人会。

月曜日, 9月 14, 2009

志らく中毒

志らくさんの全ての高座を観たい!
そんな衝動、禁断症状に駆られるぐらいどっぷりハマってしまった。
ま、この中毒、のりピーより始末は悪くない。

昨日の青梅市民会館の演目は、

らく兵 居酒屋
志らく 源平盛衰記
トーク ゲスト:なべおさみさん
志らく らくだ

それにしても青梅は遠かった・・・てっきり三鷹のちょっと先ぐらいと思ってたが、そこからが遠い。ま、そんなことはいいや。

「源平盛衰記」は家元談志の音源しか聴いたことがない。あとはテキスト化されたものを読んだ。
初めて家元の音源を聴いた時、落語でありラップのフリースタイルのような印象を受けた。「やかん」もフリースタイルだと思う。
そのフリースタイルにいちいち、これでもかってぐらいギャグが散りばめられてひたすら客が爆笑している。
その「源平盛衰記」を志らくさんが演った。
いやはやフリースタイル。ギャグのオンパレード。
そこに志らくロックの8ビート、16ビートがたたみかける。
ケミカルブラザーズ風に言うと”BREAK ROCKIN' BEATS!”

次は「らくだ」。
ZAZEN BOYS以来、2日ぶりの再会。

「らくださん、河豚にあたって”ふぐ”死んだんですか?」
「あ〜ア〜あ〜ア〜Ah〜Ah〜」

この「あ〜ア〜あ〜ア〜Ah〜Ah〜」が面白い。
ご覧になられてない方、意味がわからないと思いますがすいません。

何なんですか?もういや!
立川志らく、おもしろ過ぎ!すご過ぎ!かっこ良過ぎ!
ギャル風に言うと「う〜け〜る〜」って言いたい。
こんな軽い言い方でいいのか?ま、いいか。

明後日9/15は「志らくのピン」。
本当に楽しみです。

土曜日, 9月 12, 2009

ZAZEN BOYS × 立川志らく

9/10(木)ザゼンボーイズ マツリセッション独演会 〜スペシャルゲスト立川志らく〜

向井秀徳に初めて出会ったのはいつの頃だったか。
確か僕の好きなくるりというバンドのライブに飛び入りして、くるりの「ワンダーフォーゲル」という曲をくるりと一緒に演奏した映像を何かで見たのが初めてだったと思う。
NUMBER GIRL時代の向井秀徳だ。
NUMBER GIRLのことはまあまあ知ってたが、向井秀徳が動く姿を見るのはその映像が初めてだったと思う。(改めて調べるとこの映像がyou tubeで見られることがわかった。)
その時から、さほどがっつり聴いた訳でもないがNUMBER GIRLの存在は知ってたし、解散したことも、向井秀徳がZAZEN BOYSをやってることも知ってた。

ZAZEN BOYSにどのタイミングで出会ったのかは忘れたが、友達にCDを借りて一時聴きまくってた。そこから少しブランクが空いてしまったが、そんな矢先の「立川志らくとの競演」の一報を聞き、即「ZAZEN BOYS4」というアルバムを買いZAZEN BOYSに再会した。

初めて生で見たZAZEN BOYS。
今まで数々のライヴを見て来たが他とは全く異質のものだった。
その場その場で状況が刻一刻と変化する。向井とその他のメンバーがその場その場でぶつかり合う。
無駄に作り込んだ演奏ではなく、リアルタイムで創り上げている感じがした。
積み木を積んでぶっ壊し、また積み上げる。最初は積み木でお城を造るつもりが、つぎの瞬間に違う何かを造ろうということになっている。それに全員で取りかかる。で、また壊す。
まさに「ライヴ感」の感じる演奏であった。

向井秀徳に僕は、「難しそうな人だろうな〜」という印象を持っていた。
しかしライヴの中で時折見せる仕草・言動から「この人は凄くユーモアのある人だな」という印象を持った。その時に

「あ!だから志らくか」

と納得した。これは「ユーモア=立川志らく」というだけでなく

「ユーモア+何かを創る+表現する+狂気+奇才+鬼才+α=立川志らく」

という面で向井秀徳の考えることと人生の全てとが立川志らくの落語にマッチしたのだということがわかった。

立川志らくさんの演目は「らくだ」。
「らくだ」の登場人物のくず屋、丁目の半次、長屋の連中などなど、その中のだれかが向井秀徳であり立川志らくであり聴いてる僕であり、もしかすると全員が向井であり志らくであり僕かも知れない。
向井も「業の肯定」ということに衝撃を受けたのか。
同時代、同世代のこういうパワフルなエネルギッシュな表現者に出会える喜びは何ものにも代え難い。

追伸 「作る」と「造る」と「創る」の使い分けは難しいですね。果たして合ってるのでしょうか。

木曜日, 9月 10, 2009

聴いてみてガッテン!

先月の下北沢「牡丹灯籠」に引き続き行って参りました。

9/8 立川志の輔独演会 at 中野ZEROホール。
志の彦 真田小僧
メンソーレ 子ほめ
志の輔 みどりの窓口
志の輔 井戸の茶碗


世間的には「最もチケットの取りにくい落語家」と言われる志の輔さん。
一番の魅力を素人の僕なりに考えてみると、

「古典古典していないところ」

かなと。
口調も言葉尻もあくまで現代、現代というか今僕らが使っている言葉で演る。
だから聴きやすいしわかりやすいし文句なしに面白い!
どうひっくり返っても面白い。いちいち面白い。

悪い意味でなく、
まくらで最近の話題を散々喋って、急に古典の世界に引き込まれることがある。
別に僕は気にならないのだが、たま~に気になることがある。何か違和感を感じる時がある。
まくらを聞きながら噺にスムーズにのめり込んでる時に、急にパッと切り替えられる違和感。
中々うまく説明できないんですけど、ちょっと座りなおしたりベルトを締めなおしたり屈伸運動をしてしまいそうな違和感。
そんな違和感が志の輔らくごには全く感じない。

志の輔さんが出てきて高座に座り一礼して話し始めて落げて一礼して高座を降りてそでにはけていくまで、

全部ひっくるめて「一席の志の輔らくご」です。

どうです?わかります?
わからないでしょ?つくづく自分の「表現力」のなさに嫌になります。

世の皆さん、「ためしてガッテン」の人とか「ぺヤング」の人というのは志の輔さんの魅力の5%ぐらいですよ。
残り95%の志の輔さんの魅力を見ないと本当に人生に損をしますよ。
なかなかチケット取れませんが聴いてみて必ず「ガッテン!」します。

土曜日, 9月 05, 2009

落語強化月間

2009年8月は「落語強化月間」でした。

ひとまず、順に書こう。
8/6(木) 池袋演芸場8月上席 昼の部主任 柳家権太楼
8/7(金) 池袋演芸場8月上席 昼の部主任 柳家小三治
8/11(火) 上野鈴本演芸場8月中席 鈴本夏まつり「吉例夏夜噺 さん喬・権太楼特選集」
8/14(金) 下町ダニーローズ第11回公演 「演劇らくご~鉄拐~」 立川志らく ほか
8/18(火) 志の輔らくご in 下北沢 恒例「牡丹灯籠」2009 立川志の輔
8/19(水) 上野鈴本演芸場8月中席 鈴本夏まつり「吉例夏夜噺 さん喬・権太楼特選集」
8/21(金) J亭 談笑落語会 四季 夏 夏 part3 立川談笑 ゲスト・立川談志
8/23(日) 立川志らく・林家たい平 二人会
8/27(木) 第1回 産経新聞平成特選寄席 
       林家彦いち 立川志らく 古今亭菊之丞 柳家三三
8/28(金) 人形町 市馬落語集 柳亭市馬
8/31(月) 第28回 読売GINZA落語会 
       桃月庵白酒 瀧川鯉昇 柳家喬太郎 入船亭扇遊 立川談春

いや~我ながらよく行きました。これ見たら、8月仕事してたのかと疑いたくなります。
おっしゃるとおり、ほぼ仕事してません。いや、仕事してましたけど、落語のことばかり考えてました。
これぞ道楽、道「落」。
皆さん、いい意味で、あくまでいい意味で、会社になんか期待したらダメです。労働になんかに期待したらダメです。逆に会社も労働も貴方方にさほど期待してません。いい意味で。
そんなことなら落語を聴いていろんなことを笑って泣いて吹き飛ばしましょう。

プロレスでよくいうベストバウト、落語でいうところのベスト高座は、、、
う~ん、難しい・・・
ということでベスト3!書いた順番と順位は関係なく

8/23 立川志らく 「子別れ」
8/31 立川談春 「妾馬」
8/18 立川志の輔 「牡丹灯籠」

やっぱりベスト4!!
8/21 家元立川談志 「疝気の虫」 

次点では8/6 柳家喜多八 「野晒し」、8/11 古今亭菊之丞 「幇間腹」

いや~充実の2009年8月。充実度は中京大中京高校の高校球児と同じぐらいです。
楽しい夏の思い出。もし自分が小学生なら絵日記のネタに困らないでしょう。

とか何とか言いながら9月も10月もそこそこ強化月間です・・・